罪人の刃を胸に

2/5
前へ
/6ページ
次へ
 今、季節は秋になり、10月の上旬になったある日のこと。 近々、体育祭を行うと担任が断言した。 それで何回かの練習が行われた。 基本のリレーや綱引き、さらに騎馬戦なども。 練習の場合は本気では戦わないが。 すると、ある練習の際に不意に視線を感じて上を見上げると一つの窓が開いていた。 そこから、彼女の表情は見えなかったが微かだが顔だけ見えた気がした。 「おい焔!何ボーッとしてんだ!」と体育の先生に注意されて仕方なく元の列に戻った。 (あれは気のせいだったかな……)と思いながら。 それから体育の授業が終わって控え室で男子全員と着替えをしてると、隣で同じように着替えていた輝人が声をかけてきた。 「なぁ、さっきは何を見てたんだ?」 そう言われて焔は、一度は黙っていようと思っていたけどそんな心は関係なくすぐに答えを当ててきた。 「灯岡さんだろ~」 「それがどうした?」とはぐらかさずそう言ってから不意に携帯に目を向けたら、受信ランプが付いていた。 シャツを羽織ってボタンを留めて、ズボンを穿きベルトを巻いてから携帯を取って、誰にも見れないようにロッカーの影で隠れて開いていると予想通り、表画面の表示に【メール一件】と記されていた。 それで、ボタンを押して送信元を見て心が高鳴った。 それで中を見たらたった一文だけ書いてあった。    【あの場所で待ってる】  それを見て、焔はすぐにピンときた。 それで、携帯にある時計を見たら昼休みの時間まであと二つほどの授業があるほどだった。 「なんだなんだ?」と聞いてくる彼の声で我に返り、すぐに携帯を閉じてからポケットにしまった。 「何でもない…」と言ってから、上着を腕に通しただけで着て、体操着を適当に畳んでから簡易バックにそれを入れて慌てて出ていった。  
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加