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その後ろ姿を見ていた他の男子達は着替え途中の人がいれば着替え終わって友達を待っている人も彼の様子に呆気にとられていた。
それで輝人は素直な友人を持って誇りに思うけど「いつものポーカーフェイスはどうしたんだよ」と苦笑いを浮かべながら呟いた。
一人で出ていった焔は自分の感情のままに行動していると教室へと繋がる二階の階段の踊り場辺りで不意にあの《声》が頭に響いてきた。
『ああ……ここに赴任して幸せだ……』と高揚感に浸る何処かで聞いたことのあるような声だった。
それでその声の正体を見ようと一度立ち止まり、もっと他の情報がないか慎重に耳にしようとしても今度は響いてこなかった。
(学校の中なら起こらないと踏んでいたのだが、ここにもいるのか?)
この中学校で響いたのはあまり聴こえてこず、少しだが心が休まる場所でもあった。
「ここで聴こえたのは彼以来だな」
その彼と言うのは偶然だが、同じ学校の生徒だがその彼の犯罪を行う心の声が聴こえた。
その時に灯岡が困っていることに気づき、救うことができた。
だが、この声を聴くにも代償がある。
その弱点と言うのは……。
『また。声を《声を聴いたのだな》。それで誰を殺すんだ?』
(なぜ、殺すに発展するんだ?)
そう、弱点と言うのは自分のもう一つの人格とも言うべきか、焔の中にもう一つの……。
『だって声を聴いたんだろ?だから、その悪い人間は殺すべきだろ?《あの日》みたいにさぁ!』
「黙れ……!」とそのあと続きそうな感じがして焔は思わず叫んだ。
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