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「ママ、電話が鳴ってるよ」
娘の声に我に返ったママはあわててスマホを手にした。
バツイチのママは悩んでいることがあった。
その悩みとは再婚。
知り合った男は娘に対しても優しかった。だから悩む必要はないはずなのだけど。
「もしもし、どう? 考えてくれた?」
電話の相手は再婚を考えている男だった。
「うん、ありがと。うれしいよ。でも、もう少し待ってくれる? 必ず返事するから」
ママはそう言って電話を切った。男から猛プッシュされていた。
スマホを握りしめて考えるママに、
「ねえママ。再婚するの?」
幼稚園に通う娘があどけない顔で訊ねる。
「そのつもりでいるんだけど……。パパができることに賛成してくれる?」
ママは再婚することに躊躇いがあった。
別れた元の夫は日頃は優しかったが、怒ると手がつけられなかった。
いまつきあっている彼は大丈夫だろうか。
ママは不安だった。
こればかりは、一緒に暮らしてみないとわからない。
『神様の言うとおり』
子どものころ、迷ったときにかけたおまじないを思い起こした。
もしも神様がいるのなら賢明な答えを導き出してほしかった。
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