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「ダメだ! 魔王なんかとするわけないだろ!」
余裕なく激しい口調で言い捨てたダナートに、リィアンはビクッと身をすくませた。
「魔王、なんか……」
彼女がとても傷ついた顔をしたので、ダナートは思わず「ごめ……」と手を伸ばして、ハッと自分の行動に気づき、手を握りしめる。
「触れるのも嫌なのね……」
彼の行動にますます傷ついたリィアンはホロリと涙を溢した。
この熱をなんとかしてほしいのに、唯一解消してくれそうな人に拒否されて、それがちょっといいなと思った人で、リィアンは悲しくなった。
「私って、そんなに魅力、ない? んっ……、誰も、私のことなんか、好きになってくれないのね……」
「違う! 魅力的すぎて困るくらいだ! だけど、魔王と勇者なんて、あり得ないだろ!?」
「………じゃあ、魔王辞めたら、いい?」
リィアンの言葉に、ダナートは息を呑んだ。
(魔王じゃない、ただの女の子。リィアン。エロくて可愛くて、とびきり好みで………最高じゃないか!)
リィアンは生まれたときから、魔王として育てられたので、仕方なく魔王をやってはいるが、正直、魔王という地位に興味はない。
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