77人が本棚に入れています
本棚に追加
城の運営は副官がやってくれるし、魔王というだけで、なぜかこの城を離れられず、かと言って、訪問者はほとんど来ず、暇を持て余していた。
(そうだわ! 魔王を辞めればいいんだわ!)
いい考えだとリィアンは笑みを浮かべた。
「可愛い……」
つい漏れ出たダナートの言葉に、リィアンは顔を赤らめる。
その様子に、グッと心を掴まれる。
「リィアン……だよな? それなら、俺も勇者を辞める。そうしたら、ただと男と女。恋したっておかしくない」
「恋?」
「あぁ、一目惚れだ、リィアン」
「ダナート! うれしい! 私も一目惚れよ!」
喜んだリィアンがダナートに抱きついた。
柔らかな胸がむにゅっと当たった。
「うわぁっ!」
叫んだダナートに慌ててリィアンは体を離す。
「ダメだった? ごめん……」
「いや、駄目じゃない! 全然駄目じゃない! ただ、驚いただけだから!」
今度はダナートがリィアンを抱きしめた。
初めての彼からの行動に、リィアンは胸がいっぱいになる。
「ダナート、好き」
「あぁ、俺もだ、リィアン」
見つめ合った二人は唇を合わせた。
最初のコメントを投稿しよう!