淫紋をつけられたカタブツ勇者と可愛い女魔王

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 バンッッッッ  扉が叩きつけられるように開いたかと思うと、剣を構えたダナートが飛び込んできた。 「魔王ーーーっ! 覚悟し………あっ?」  びっくりしたリィアンの指から赤い光がダナートの元へ飛んだ。そして、その光はダナートの腹部に吸い込まれて消えた。 「あ……」  リィアンがしまったと声を漏らす。  気まずげな顔の彼女と目が合って、ダナートは目を見開いた。一瞬で真っ赤になる。 「な、な、な、そんなとんでもなく俺好みの美女を出現させたって、俺は籠絡されないぞ!」  赤面しながらも鋭い目をますますキツくして、ダナートは副官を睨みつける。 「好みの美女……」  リィアンが彼の言葉を繰り返して、ポッと赤くなる。  容姿のわりに、初なリィアンである。  燃えるような赤髪を立て、精悍な顔つきのダナートにうっとりして、潤んだ目で見上げた。 (なに? このときめきは?)  とくんとくん、とリィアンの鼓動がうるさいように騒ぐ。 「そ、そんな色っぽい目で見ても無駄だ! 俺は惑わされない! ここまで数々の誘惑の罠を振り払ってきたんだ! 覚悟しろっ、魔王!」
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