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ダナートがリィアンから必死で目を逸らし、副官を指差す。
「やれやれ、私はただの副官ですよ。魔王様はこちらです」
副官はウニョウニョと触手を伸ばして、リィアンを指した。
リィアンは突然紹介されて、慌てて居住まいを正して、ぺこりとお辞儀した。
「はじめまして。魔王をしているリィアンと申します。こちらは副官の触手ちゃん。よろしくお願いします」
「これはご丁寧に。俺は勇者をしているダナートと言…………違うっ! なんで、こんなフェロモン美人が魔王なんだよ! しかも、なんでそんなにほのぼのしてるんだ!?」
つられて、挨拶を返しかけたダナートはハッと気づいて喚いた。
「フェロモン美人だって、ねぇ、触手ちゃん」
また頬を染め、リィアンは副官をモジモジしながら、つついた。巨大な触手である副官は、ぷるんぷるんと身を震わせて答える。
「おやおや、もしや魔王様は勇者に一目惚れでもされたのですか?」
「一目惚れ、なのかな……?」
熱い頬を両手で覆って、小首を傾げる様子はあざとかわいい。
「エロかわ……」
そんなリィアンを見て、ダナートはつい本音が漏れ出てしまう。
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