淫紋をつけられたカタブツ勇者と可愛い女魔王

8/23
前へ
/23ページ
次へ
「あぁ、失礼しました。魔王様はこの男にご興味がおありでしたね。私のトラップを躱してここまで来た者は初めてですし、私も興味がございます」  声に温度が戻ったと思ったら、今度はとても楽しげな声で副官はつぶやいた。 「あれはみんなお前の仕業なのか!?」 「そうですね。私の趣味です。真面目で正義ヅラした人間を快楽堕ちさせるのがとても楽しくて。なのに、あなたはどれにも引っ掛からずにここまで来た。本当に興味深い」  つくづく感心したというように巨大な触手は揺れた。 「俺は絶対に快楽堕ちなんかしないっ!」 「そんなに股間を膨らませて言っても、信憑性ないですね」 「くそっ! 淫紋のせいだ! 離せっ!」  ダナートは身をよじったり、手を突っ張ったりして、なんとか触手から逃れようとする。  いくつかの触手がブチッとちぎれて落ちるが、次から次へと触手が巻きついてくるので、無駄だった。  その様子を見て、リィアンが副官に「ちょっとかわいそうじゃない?」と眉を寄せる。 「魔王様はお優しいですね。でも、この魔王城に攻めてきたのです。それなりの罰は受けてもらわなければ」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加