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「あぁ、失礼しました。魔王様はこの男にご興味がおありでしたね。私のトラップを躱してここまで来た者は初めてですし、私も興味がございます」
声に温度が戻ったと思ったら、今度はとても楽しげな声で副官はつぶやいた。
「あれはみんなお前の仕業なのか!?」
「そうですね。私の趣味です。真面目で正義ヅラした人間を快楽堕ちさせるのがとても楽しくて。なのに、あなたはどれにも引っ掛からずにここまで来た。本当に興味深い」
つくづく感心したというように巨大な触手は揺れた。
「俺は絶対に快楽堕ちなんかしないっ!」
「そんなに股間を膨らませて言っても、信憑性ないですね」
「くそっ! 淫紋のせいだ! 離せっ!」
ダナートは身をよじったり、手を突っ張ったりして、なんとか触手から逃れようとする。
いくつかの触手がブチッとちぎれて落ちるが、次から次へと触手が巻きついてくるので、無駄だった。
その様子を見て、リィアンが副官に「ちょっとかわいそうじゃない?」と眉を寄せる。
「魔王様はお優しいですね。でも、この魔王城に攻めてきたのです。それなりの罰は受けてもらわなければ」
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