敵か味方か

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敵か味方か

「Here is enough、(ここで十分だ、)」高級フレンチでの夕食を食べに訪れたロバートは何人かのボディガードを引き連れ店へ入店し、予約席の前まで歩くとボディガードを立ち止まらせ、ロバートはゆっくりと席で腰を下ろした、ロバートの表情はいつも険しい顔をしており、食事の時でも顔は険しかった、ボディガードが予約席を囲うように立っているなかロバートは店員にワインとフレンチ料理を注文し、店員が去ると携帯を取り出した、ロバートとを警護するボディガード達の表情は一切変わることなく立ち続けている、すると何か厨房が騒がしくしている声が耳から入ってきた、しかし、ロバートは気にすることなく再び携帯に目線を向けた、二分後、「お待たせしました、ご注文の白ワインです、」ふとワインを運んできた店員の方を見上げると、ワインを持っていたのは従業員の制服を着ていないジャケットを身につけた南条の姿だった、ロバートは思わず動揺したが、すぐに何者か問いかけた、「I want to do business with you(あなたと取引がしたい」)南条は鋭い視線でロバートの問いかけにそう応えた、「Who are you!(誰だ貴様!)」 突如南条の動向に怪しいと判断した一人の巨体な体格を持つボディガードの男が南条に警告を露にした、「Wait、Zayn(待て、ゼイン)」するとロバートが何故かボディガードの男を静止するよう言いかけた、ボディガードは困惑な表情を浮かべるが南条のもとから離れていった、南条はロバートの思考に疑問を浮かべていると突然ロバートが口を開けた、「どういう話しか聞かせろ?」 「日本語話せるんだな、!?」 突然ロバートが日本語を話した事に南条は思わず驚いた、すぐに南条は白ワインをテーブルに置き席に座ると早速ロバートに用件を話した、「とある友人からあなたが武器を売買していると聞いて、あなたと取引を掛け持ちたいと思ってね」南条が話している間のロバートの顔は険しい表情を変えることなくじっとこちらを見ていた、「俺の取引はお互いが信頼し会える人物としかやらない、以前にも取り引きをした男がFBIの捜査官だという事に気づかず、えらいことになった経験がある」するとロバートは白ワインを手に取り口にした、白ワインを飲み干すとロバートは眉間に皺を寄せながら険しい顔をでもう一度南条に問いかけた、「お前はテロでも企てたい目的でもあるのか?それともこの私を潰しでもしたいスパイか、」 「ジャキ!」突然南条はテーブルの下でロバートに向けて拳銃を構えた、「フッ」ロバートは椅子の背中に身体をもたれて南条を睨み付けた、「君がもしその引き金を引いても、後から来るボディガードで君も死ぬことになるぞ」 「さぁそれはどうかな、」お互いに睨み会う二人のその場の空気は緊張感に包まれていた、すると南条は拳銃を下ろした、「なぁ俺を雇わないか、あんたは今ムシーナという自分の身代わりになる人物がいないことに焦っているだろう、」南条は畳み掛けるかのようにロバートに話し続けた、ロバートは一度南条から目線を離しじっと考え始めた、しばらく黙り込んでいるとロバートは一言南条に呟いた、「俺に近づいた目的はなんだ?」すると南条は待っていたかのような顔を見せながら応えた、「核燃料を配合した東堂教授が作り出した設計図があった筈だ、設計図をカルテルから奪還したい!」そう話すとロバートは困惑した顔を見せた、「ゲラート・ブラックが指揮を取る過激派組織カルテルは、以前から取り引きを続けていた組織だ、奪還するということは奴らを裏切ることになる」 「どうして設計図は奪われたんだ?」 「君に話す事ではない」 長く話を続けている二人にボディガード達は思わず気になりだし、時々後ろを振り向いている、「用件は二つだ、カルテルが潜んでいる場所を教えろ、そして設計図を奪うためにあなたの応援チームを要請して欲しい」南条はじっとロバートを見つめ用件を話した、だがロバートはすぐに南条の用件に応えることはなかった、「君の用件は検討してみる、又何かあったら連絡する」ロバートはそう言い放つと突然席から立ち上がりボディガードに囲まれながら店から出ていってしまった、ロバートが店から去った後南条はしばらく席に座ったままテーブルに置かれたままのワイングラスを見つめていた、するとポケットから青葉宛の着信が鳴り出した、「俺だ、」 「南条さん、ロバートはどうなりました?」 南条はしっくりと応えがでていないことに頭を悩ませた、しばらく電話を続けていると、「バン!バン!バン!バン!」突然店の外から銃声音が鳴り響きだした、「何だ?」咄嗟に南条は携帯を離し、店の外へと走り出した、「南条さん?どうしたんです?」携帯はオンにされたままテーブルに置かれていた、店の外から出ると、近くの道路で止まっていた黒のBMWの車両の中で頭を抱えるロバートとの姿を見つけ、その回りには黒の車両が二台ロバート達を囲うかのように車を止めて窓や車の外からライフル銃で襲撃していた、そしてロバートを警護していたボディガード達は車の壁に身を隠して銃を構え、ボディガードの一人は肩を撃たれその場に倒れ込んで血を流していた、「!」南条は考える暇もなくBMWの方へと駆け込んでいった、その隙に敵の弾丸が飛んできた、「バン!バン!」 「何している、死ぬ気かお前は!」ロバートの目は恐怖に脅かされ気が気でないようにきまっていた、「あんたを死なす訳にはいかない」その時、「ダダダダダ!」ライフル弾がこちらに襲ってきた、南条は思わず頭を下げた、弾が収まるとすぐに南条は拳銃を取り出し、ロバートに車から降りるよう言いかけた、「ゼイン!さっさと始末してくれ!」パニックで怒りを露にするロバートは部下に怒号を繰り返し叫んだ、「ダダダダ!」車を盾にし身を隠すゼインは苛ついていた、しばらく混乱状態の銃撃戦を繰り返しているなか、どうにか南条はロバートを車から下ろした、「あんたはまだドアに伏せてろ、」そう言い放つと南条は慎重に上を見上げ敵の位置を確認した、すると敵達の動向は今にも強行突破で突き進もうとしているのに気づいた、「今はどうなっているんだ!」 「このままだと一気に全滅する、どうにか車を動かせないのか?」すると近くに隠れていたゼインが応えた、「キーならあいつが持ってた」ふとゼインが見ている方向を見ると、反対側のドアで敵に撃たれ動けずにいたボディガードが持っているのだと理解した、「ダダダダダダ!」再び敵の弾丸が飛び込み、慌てて南条は身体を伏せた、「一体どうするんだ?」ロバートの問いかけに南条は黙り込んだ、すると咄嗟に浮かんだ案で南条は口を開いた、「敵車両のエンジンを集中的に狙い撃て!」南条は必死にそう言い放った、近くにいるゼインは黙って頷きエンジン部分を撃ち込みだした、南条も合わせて引き金を引き続けた、「It ’s dangerous, it ’s dangerous!(ヤバイ、ヤバイぞ!)」段々と車両の穴が大きくなりガソリンが漏れ始めてきた、「その調子だ!」すると、危険と判断した敵の何人かが車から離れた隙に南条は引き金を引き、敵を仕留めていった、「バン!バン!」 やがて撃ち続けたエンジン部分に弾が行き届き敵車両から爆発が起きた、大きく車体は吹っ飛びそして炎上し始めた、「今のうちだ」南条は身を隠していたドアから立ち上がり反対の車体へと回り込んだ、車に持たれていたボディガードは既に意識を失っていた、南条は倒れたボディガードを抱え、車のキーをロバートに渡した、「バン!バン!」 爆発が起きた中でもまだ僅かに敵の生き残りはおり、警戒を怠らず銃を撃ち続けながらロバートや南条達は車に乗り込んだ、「Move the car(車を動かせ)」ハンドルを握るゼインにロバートは焦りながら言い放った、穴だらけの状態になったBMWの車両はようやく走り出し、その場から逃げ出すことが出来た、極限状態の緊張から解放された皆は疲れきったなか、南条は思わずロバートに問いかけた、「襲ってきたのは何者なんだ?」 するとロバートは疲れきった表情をしながら簡単に応えた、「職業上よく狙われる事はある、だがさっき襲ってきた奴らの顔はどこか見覚えがあった、恐らくブラックの部下達だろう、この俺を殺しに来たんだ!」突如ロバートは怒りが込み上げ、助手席のドアを何度も蹴り付けた、「クソ、クソ、クソクソクソクソがぁぁ!!」 するとロバートは険しい顔で後部座席に座る南条の方を振り向き一言呟いた、「お前の用件を呑んでやる。」 「掃除が大変だったぞ、南条さん」 ロバートから接触した日から2日後、南条は青葉から来るように言われていた橋の上で時間を過ごしていた時、急に横から青葉が姿を見せた、「掃除?」 「ロバートが襲われたあの場所で、情報が漏れないようにあの後処理したのは私なんですよ、それと、南条さんの携帯」そう言うと青葉はコートのポケットからフレンチ店で置きっぱなしにしていた携帯を取り出した、「すまない青葉、お陰で助かったよ」 すると青葉はニコリト笑い南条に囁いた、「いや、それよりも接触がしにくいロバートに近づけたこと事態がありがたいです」二人は橋の手すりに持たれながら橋の下から流れる川の水面を眺めた、「あの後ロバートから連絡があった、どうやら過激派組織カルテルが潜んでいるのは、メキシコ合衆国ソノラ州の砂漠地帯ソノラ近辺に潜んでいると情報があった、加藤はそこにいる!」 すると青葉の目付きも真剣な眼差しに変わった、「これから更に任務は厳しくなる、お互いにもっとチームワークを高めなければ、任務は成功しない」 「えぇ、又生きて帰るために」二人の感情は未知の領域に踏み出す、恐怖と重圧に押し潰されそうになりながらも、耐えしのぐ、複雑な感情が入り交じっている、「川が綺麗だな、」。
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