機密組織

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機密組織

ザ・リッツ・カールトンホテルでの救出任務から過激派組織に拘束されてしまった南条と高橋は黒の頭巾を頭に被されて顔を覆われた状態で、ほとんど視界を失いながら敵組織と共に輸送車であるトラックの荷台に乗せられ、見知らぬ森の中へと連れてこられていた、やがてトラックが止まると二人は銃を突きつけられながら、足跡が不安定な地面へと二人は降ろされた、「Shake it!(早く行け!)」苛立つテロリストは思わず南条に向けてライフル銃を突きつけた、緊張感が漂うなか南条はテロリストの言う通りに、目的地へと歩きだした、高橋は不安が募るなか南条の後ろへと着いていった、黒に覆われた視界はとても見えにくく、目的地へと向かう途中で時々足が躓いてしまうことが多々起きた、すると突然テロリストの男が声を挙げた、「Stop!here(ここで止まれ!)」そう言うと拘束された二人はその場で座らせられた、そして次の瞬間には「バーン!」二人を脅すかのようにテロリストが一発空に向けて発砲した、「!」高橋は恐怖の余りに逃げ出そうとするものの近くのテロリストに抑えつけられ、逃げるのに失敗した、「What are you doing!(何している!)」高橋の行動に痺れを切らした一人のテロリストが等々高橋の頭に銃口を突きつけてきた、その瞬間に南条が被されていた頭巾が突如外された、南条はようやく目に入った視界に恐怖を覚えた、まるで拷問するかのように二人の回りには武器を持った外人達が立ち並び、ふと横を見ると黒い頭巾を被され怯えて震え出している高橋の姿も見えた、「落ち着け、まだ助かる余地はある筈だ!」 「残念だが君達は生きて帰らせる事は出来ない、」突然南条に話しかけてきたのは日本人だった、その日本人はゆっくりと南条のもとへと歩いてきた、そして目の前まで来るとその場にしゃがみこんだ、「だが、一つだけ生きて帰れる方法が一つだけある、それは君達の素性をきっちりと明かして貰うことだ」その日本人はそう話した、「何で日本人がここにいる!お前は誰だ?」するとその日本人は笑みを浮かべた、「この状況でも随分と強気だな君は、どうやら簡単には吐けそうにないな」すると突然立ち上がり仲間に合図をするかのように指を鳴らした、「やれ、」次の瞬間高橋に銃口を向けていたテロリストがその合図によって引き金を引いた、「バーン!」高橋は視界を奪われたまま頭を撃たれ殺されてしまった、「ヴワァーーー!」南条はショックの余り叫ぶことしか出来なかった、「さぁ、次はお前の番だ、」謎の日本人はそう呟きながらポケットから拳銃を取り出し弾を込め始めた、「お前らは何者なんだ?どうしてあの場所にいた」 等々銃口が南条の額へと突きつけられた、「3、」カウントが始まった、南条は中々口を割ろうとせずただその日本人を睨み付けた、「2!、」ゆっくりと銃のバーが下げられた、「1!、」死を覚悟していたその時、突如上空から眩しい光が森の隙間から南条達を差し込んだ、眩しい光の正体はヘリコプターで、窓からマシンガンがつけられていた、「Get rid of that!(あれを始末しろ!)」テロリスト達は突如焦りだしたその瞬間、上空からの激しい猛攻が始まった、上からのマシンガンに敵組織は対処できず、殺られていくものや、その場から逃げ出す者で溢れた、南条は走りにくい姿勢から無我夢中で森の奥へと走り出した、「待て!止まれ!」謎の日本人は南条が逃げる姿を見つけると、南条に向けて拳銃を発砲した、「はぁ…はぁ…」後ろから殺される恐怖を感じながらも南条の足は止まらなかった、しかし次の瞬間、ヘリから落とされた手榴弾の爆風に巻き込まれ、南条の身体はおもいっきり遠くへと飛ばされてしまった、「ヴゥ、」身体は近くの木に当たり、その衝撃によって南条の意識が段々と遠退いていった、目蓋が最後に映した景色は、森が炎で焼き付くされていく景色だった、そして南条の目蓋はゆっくりと閉じた。 眩しい太陽の光が外から自分を差しているのに目を閉じていても感じ取れた、目を開けると病室の様な白で統一された部屋に自分はベットで眠っていた、「おはよう、死後の世界へ」南条は声のする方を振り向くと、病室のドアから一人の男がこちらを見つめていた、「俺は死んだのか?」 「フッ、冗談だ、君はまだ生きている」そう軽い笑顔を見せ呟くとこちらに歩いてきた、よく見ると男の右足は義足をはめていた、「偶然にも君は我々の応援部隊に拾われて、意識が朦朧としていた君をここまで送り届けた」 「そうなのか」南条は助かったという実感がすぐには湧かなかったが、時間が経つに連れそう感じてきた、「あなたは誰ですか?」南条は最初に感じた疑問を投げ掛けた、「悪いな、挨拶が未だだったな、私は存在しない組織TIMEの司令塔 斎藤だ、そしてこの場所はTIMEの本拠地とでも言っていい場所だ」 「TIME?そんな組織聞いたことがない」すると斎藤は笑みを見せた 「なら安心した、TIMEは国家機密の工作組織だ、普通なら我々の組織には辿り着かない」 「ならどうして今俺はその組織にいるんだ?」 「それは時期にわかる、」斎藤はそう応えると病室から出ていこうとした、「あ!そうだ身体が回復したら、私に連絡してくれ、頼んだよ」そう言い放ち病室から出ていった、慌ててベット横のテーブルに置かれていた携帯を手に取り開くと、メール欄に斎藤の名前が送られていた、斎藤という男は謎が多くミステリアスな人物だと南条はそう感じた。 二週間後、退院した南条はTIME本拠地から出るためヘリポートに止めていたヘリに乗って日本へと帰国していた、へりが辿り着いた場所は江東区新木場のヘリポートだった、「ここでよろしいですか?」 「あぁここでいい」地上へと着くと南条はすぐにヘリから降りた、ようやく日本へと帰ってきた喜びの矢先、外で待ち構えていたのは杖を持って立つ斎藤の姿だった。
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