追跡

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モスクワ周辺爆弾テロ事件発生の一時間前、ロシアの観光名所である赤の広場では昼間になると大勢の人達で溢れ帰っていた、そんな人混みの中に南条と青葉はいた、「この状況でどうやって、ムシーナを探しだすんだ?」南条は困惑した顔で人混みに紛れる青葉に問いかけた、「当てにはならないが、策はある」青葉は淡々とそう応えると南条の不安がよぎりだした、南条はしばらく広場周辺を歩き続けていると、突然青葉がいない事に気がついた、「おい、どこに行ってるんだ!?」動揺を隠せずに慌てているとポケットに閉まっていた南条の携帯が鳴り出した、すぐに通話相手を見ると、画面に映っていたのはやはり青葉だった、「今どこにいるんだ!」冷静になれない南条は思わず感情的になると、電話の向こうから何人かの声が聞こえてきた、「突然消えてすまない、たった今辺りの監視カメラを抑えた」青葉は先に南条のもとから離れて、モスクワの街を全て映す監視カメラがあるモニタールームに青葉は侵入し、部屋にいた警備員に銃を向けてコントロールしていたのだ、「怪しき人物がいたらすぐに連絡する」そう青葉は伝えた。 5分後、南条は未だにムシーナの姿を見つける事が出来ずにいた、青葉からの連絡もきていない、只刻々と事件発生の時刻に近づいてる、「クソ、どこにいるんだ」南条の顔は焦りを見せ辺りを探し回った、その時、遠くから歩いてくる男が目に入ると、南条の足が立ち止まった、男の顔はどこか見覚えがあるように感じた、しばらくその場で考え込んでいると、男は突然視界から失ってしまった、「南条さん、聞こえますか?」すると携帯からの音声に南条はふと我に返った、「どうした?!」 「十時の方向に黒いコートを羽織った不審な男を見つけました、ムシーナである可能性が高いです!」 その話しに南条は十時の方向に目を向け、辺りを見渡した、人混みの中に紛れる怪しい男を見つけようと南条は必死に探していると、再び見覚えのある男が突然南条の前へと通りかかってきた、「 ! 」 南条は思い出した、無性に男を見ると恐怖を覚えるその顔は、東堂の救出作戦後にテロリストから高橋と共に拉致されていた時、高橋を殺害した唯一の日本人テロリスト、あの男だった、「お前、あの時の」南条はふと銃を抜こうとしたその時、目の前にいるあの男が突然、何かを見つけたかのように走り出した、南条は咄嗟に身体が動き男の後を追いかけた、「南条さんどうしたんですか!」監視カメラに映る南条が突然走り出した事に青葉は動揺を隠せなかった、青葉は慌てて南条に電話をかけた、「南条さん!ムシーナですか?」走りながら通話をする南条は必死に応えた、「何か知っているかもしれない男を見つけた!先にそいつを捕まえる!」南条は叫びながら青葉にそう伝えた、人混みの中から走り抜ける男を必死に追いかける南条の息は段々と上がり始めている、追いかける先には例の爆発現場ある、不安を感じた南条は青葉にある頼みをお願いしだした、「青葉!今すぐ爆発が起きた現場の監視カメラを見ろ!」青葉は慌てて別の監視カメラの映像を見ると、その周辺には黒いコートを着た不審な男が立っていた、次の瞬間、男はコートのポケットから紙袋を取り出し、地面に袋を置いた、「!、爆弾だ!!逃げろぉぉ!」急な青葉の叫び声に南条は思わず通話を切ってしまい無我夢中で男を追いかけ続けた、「Set complete、フフフフ」、南条の追いかける日本人テロリストが人混みから抜け出すと突然立ち止まった、そして拳銃を抜こうとしたその時、「カチ、」 背後から南条の手に持った銃口が男の後頭部へと突き付けられた、「フッ、これは一体どういう事かな?」男は不適な笑みを浮かべ始めた、「俺を知っているな、貴様は何者だ!」南条は高橋が目の前で殺される瞬間の記憶が鮮明に蘇っていき、怒りが込み上げてきた、「オイオイ、こんな状況で大丈夫なのかな君は」ふと回りを見ると二人が拳銃を所持していることに周辺にいた人々から悪い注目を浴びせてしまった、「正体がバレたら不味いんじゃないのか、得に君達の組織は」 「どうしてここにいる、今すぐに応えろ!」南条は怒りと共にバーを卸した、周辺にいる黒いコートを着た男は咄嗟に状況を見て紙袋を地面から取り上げた、「目的は君と同じだ、ムシーナは今ここにいる、そして今まさにここから逃げようとしている、」その言葉にふと男から目線を離し辺りを見ると、青葉が話していた黒いコートを羽織った不審な男が背中を向けて歩く姿が見えた、「何処かで又かならずお前を始末するからな」 「それは楽しみだな、フッ」 次の瞬間、南条は突き付けていた銃を男から離してムシーナを追いかけて行った。 「止まれ!」南条は無我夢中で見つけた爆弾テロ事件の実行犯、ムシーナを追いかけている、人混みを掻き分け走り続ける南条には焦りと疲労が現れてきた、すると、前にいるムシーナから攻撃を仕掛けられてきた、「バン、バン!」南条は臆することなく足を止めなかった、やがてムシーナは街の街路樹へと逃げ込んでいった。
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