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空が、青かった。
自分の事にかけては運が味方する人だった。
仕事をしている所を見た事が無かった。催促されれば断った。火をつけて山火事未遂は数回、ひとさまの家の桜を切っちまう等々、逸話に事欠かない、ハチャメチャで、自分勝手で、人のゆう事は聞かない人生だったが、こうして父は一生を終える事となった。それでもありえないはなしだが、対外的にはいいひとの評判だった。世間体は気にする外ズラのいい内弁慶だった。
葬式ではいい人の評判通り、泣き出す方々もおり、寺社関連の役員をやっていた関係で、そりゃぁありえないくらいの高評価の戒名をもらった。いや、購入した。家庭内の実情を話す気にもならず、少なくとも自分に戒名はいらねぇなと心に誓いつつ葬式は粛々と進んだ。
さて、出棺。喪主である私は、出口付近を確認しつつ棺を担ぎ上げた。
「いっ、せいっ~のぉ、せっ!」
もう一方の担ぎ手とタイミング合わせる為の合いの手だったが、これがいけなかった。
「もうっ、このこは、掛け声なんてかけて・・・」
静寂を破ったからか?その場では母親にたしなめられる程度だったが、後がいけない。
焼き場に行って、こんがり。骨ががっつり残っており、生前の有り余る体力の礎を確認してから、ばりばり納骨。三々五々、解散の途についた参列者を見送って、お茶飲んで一息ついていた時に、母親が炸裂した。
「どうして、掛け声なんてかけるのっ!おかしいでしょっ!?」
私にだって言い分はある。
「おやじ担いでる時にぎっくり腰になったらいかんだろっ!?俺だけじゃなく相手がいる動作だぞっ!」
母親が言った。
「そうゆうときはねっ!我慢するのよっ!」
ちょとまて、私は理性的に生きてきたつもりだ。一時の感情に流される事無く冷静に物事を判断しょうとして来た。その育ての親が、体育会系根性論者とは、どうゆうことか!?
・・・言わなかった。口を挟まなければ、素直に引き下がれば、この場は丸く収まるのだ。‘ よしっ!’と指差し確認をしなかった事にホッとしていた。こうして大人になってしまった事に気が付いたのだ。私は喪主だった。
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