僕の雷と正義の鉄槌

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僕の雷と正義の鉄槌

ゆっくりと車を走らせ、後少しで大通りに出る手前の2件目の家の前に差し掛かると、先程のおじさんが、水道のホース片手に道に水を撒いていた。 そのおじさんは、僕達が通ろうとしていてもホースを横には避けずに水を撒き続けていた。 僕は、皆で雑談をしながらも、何気なく、その水が撒き終わるのを、車を停止させ待っていた。 すると、おじさんは、水を避けたから終わったんだなと思い、僕は車を走らせた。 すると、おじさんの隣を通り過ぎようとした時に、おじさんが何かを言っている。 僕は窓を開けて、 「何ですか?」と、聞いた。 すると、おじさんは凄い剣幕で、 「お前!砂埃が舞い上がっただろ!!この家の前を通るんじゃねーよ!向こうの道から行けよ!!」 そのおじさんの家の前は、そのおじさんの敷地内でもないし、カラッカラの道の砂埃が舞い上がるのは仕方がないし、注意の看板なども無い、それに僕は、そんなにスピードは出していない。 僕の中で何かがプッチーンとキレた。 僕は、すぐに、 「そんなの、知らねーよ!」 と、反論し窓を閉めた。 すると、窓を締め切らぬ状態で、そのおじさんは、ホースの水を僕の運転席の窓めがけてかけて来た。 僕が1番の被害者だ。 車の中に水が飛び散り、僕にも容赦なく水がかかった。僕は車を停止させた。 「うわ!最悪だ!濡れた!ここも濡れたし!」 「うわ!最悪だな。あいつ。」 助手席の拓哉は濡れてないが、僕だけが濡れてしまった。 その時、拓哉が僕に、 「でもさ、車が綺麗になって良かったじゃん。」 少し笑いながら言ってきた。 僕の中で何かキレるとも少し違った音が鳴り響いた。 その瞬間、僕は窓を開け後ろのおじさんの方に向かって、デカイ声で叫んでやった。 「車綺麗にしてくれて、ありがとなー!!!じじいー!!!」 ゆっくりと車を走らせた。 そして、怒りの収まらない僕は、そのまま警察へと向かった。警察には厳重注意をしてもらうように話は収まった。 その後、警察から反省して謝っていたと連絡があった。 そのおじさんは、まさか警察が来るとは思わなかっただろう。 僕は正義の鉄槌を下した。 何があっても、人に危害を加えるなど許されない。 でも、あれから僕も少しは反省した。 その後、そこを車で通る時は、ゆっくりと走って砂埃が舞い上がらないようにしている。 ある夏の僕の晴れのち雷日和の1日だった。
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