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⑴
「うわー、また雨か」
別に梅雨の時期でもないのに雨は俺の思いに対抗するようにしとしとと降り続ける。
どんよりした空が俺をあざ笑うかのように雨を止まさない。思いに反例して嫌なほどに雨が降る
俺は雨が嫌いだ。
俺が癖毛で雨が降って湿気でさらに癖が出てきて、友達にバカにされるのも嫌だが、嫌いではない
歩きでびしょびしょになるのも別に嫌いではない
何が嫌いだと言われれば、俺の過去に関係してくる。
大好きだった母が父と別れて出ていくのが雨だった
いつも笑顔だった母が家から出て行こうとする日が雨の日だった。最後の母の表情は泣いていた顔だった。出ていく母の姿を追いかけて雨の中探したけど、見つからなかった。幼い俺は足も遅いし体力もない。
立ち止まって見上げた空は何故か俺に似てて嫌いになった。
その日から雨の日は嫌いで学校を休むようになった
なるべく外に出たくないし。
今ではそんな子どものみたいなことはしないが、嫌いな事には何の変わりもない。
「ちっ‥‥」
無意識に舌打ちをしていたみたいで誰もいない昇降口に響いた
天気予報ではくもりだったはず。傘なんて持ってきていない
走っていくしかないよな‥。と考えて、昇降口から出ようとしたら隣でカタッと静かな場所には似合わない大きな音が響き渡った
俺がたてた音をではないから、びっくりしながら隣を見てみると一人の男が立っていた
さっきまでの俺と同じように空を見つめている
その男は深い蒼の髪色で、綺麗な顔立ちだ。右耳には赤いピアス。制服も着崩していて男子校に居ては目立つ。身長は俺よりも低いものの、決してチビではない。
俺は彼を知っている
「傘、貸そうか?」
考えていたら、彼は俺を見つめていて俺は思考停止した
目が合った瞬間、時間が止まったような感じがした
抱かれたい抱きたいランキングの常に上位に居て、あまり姿を現さない。
常磐 雨音―――‥
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