怒り爆発!!!!

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怒り爆発!!!!

 昔々、あるところに小さな村があった。村人達の暮らしは困窮を極め、毎日の食うものに悩むぐらいであった。村人達の大半は農民、この村は秋になれば、見渡す限りの金色の絨毯を敷いたかのような稲穂の恵みが与えられる程に肥沃な土地であった。稲に限らず、野菜などの農作物も豊かに収穫できる程であった。  それにも関わらず村人達の暮らしがよくならないのは、彼らが怠惰だったのかと言えば、そうではない。この地の領主が村人達に重税を敷いていたからである。この時代の税率は地方により差があり、五公五民や六公四民ともなれば極楽浄土、この地の税率は驚異の七公三民。石高の七割を土にも触れず鎌や鍬も握らない領主に納めなければいけないのである。前までは五公五民と常識の範疇に留まっていたのだが、幕府より新しく任命された領主が民を物の数と思わない愚物で、自らの贅沢三昧のために税率を七公三民に上げてしまったのだった。 小さな村にある小高い丘から見える領主の屋敷は豪華の極み。屋敷の横に立ち並ぶ白亜の米蔵こそが領主の税の象徴。米蔵の中には米俵がギッシリ、幕府に納める分を差し引いても多すぎるぐらいである。  先述のように領主は贅沢三昧、それも毎日である。風体は金糸混じりの嫌味な羽織袴に烏帽子と(みやこ)のお公家様気取り、一地方の領主には似つかわしくないもの。食事も公家気取りで、毎日が鯛の尾頭付きで一口だけ手を付けて残りは捨てるか、家で飼っている猫に与えていた。  村人は大半が襤褸布纏い、畑仕事で土が繊維の間に入り込み染みも取れない。指先も土が染み込み真っ黒でゴツゴツとしたもの。食事も七公三民の三民分を慎ましやかに食べるのみ。米は全て領主に納付し、粟や稗などの雑穀などしか食べることが出来なかった。田植え、除草、稲刈り、脱穀…… 水無月(六月)より始まり、長月(九月)までの短い期間ではあるが、雀や蝗や大雨や野分などの驚異から守ることを考えると長く厳しい期間であると言えるだろう。その苦労も全て領主のためにしているとなると報われない。農民は何のために稲作や畑仕事をしているのかが分からずにいるのであった。
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