怒り爆発!!!!

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 そんな中、村で事件が起こる。日照り神が機嫌を損ねたのか、村では旱魃(かんばつ)が起こり、農作物の収穫が前年に比べて激減してしまったのだ。村長は領主に年貢米の量の緩和(減税)を願い出たのだが、食らったのは平手打ちだった。 「それがどうした? これからもこれまでも七公三民は変わらん!」 「そんな…… 後生じゃ!」 「知るかこのダボが! 今年は少ないのを妥協してやってるのを慈悲だと知るのだな!」 領主は腰元を侍らせ、蛇のように舌をチロチロとさせながら、腰元の顔に近づけていた。 心底、村の収穫物に影響を与える天候には興味が無いということである。旱魃(かんばつ)も「近頃雨が少ないなぁ」と、思うだけでこれが米や野菜の収穫に影響が出るとは微塵も考えていないのであった。ちなみにだが、侍らせている腰元は村長の娘で、村長の家が年貢の不足分の補填として無理矢理奉公人と言う形で腰元にされたのだった。自分の娘が自分とあまり歳の変わらない領主に好き勝手されている姿を見る心境たるや、身を裂かれるよりも辛いものだろう。  村長は肩を落として村へと戻った。そして向かった先は村の若い衆が集まる寺だった。その道中、道端で眠っているのか死んでいるのかもわからない村人が横たわる。彼らは餓鬼のように肋骨が浮き下腹が膨れ上がり、どこか虚ろな目で空を見上げていた。村長は自分の村がここまでの飢餓に追い詰められるとはと心を痛めていた。ここはまだ村の表通りでマシな方、裏通りともなれば、倫理の壁を突き破り人肉食に手を出す者や、烏や野犬に体中を啄まれてそのまま放置された者までもがいた。税率が七公三民となり旱魃(かんばつ)が重なった故に起こる地獄絵図と呼ぶに相応しい光景であった。  村の若い衆は村長が寺の障子を開けた瞬間に一斉に集まってくる。年貢米の緩和の交渉の可否がいかなるものかが気になってたまらなかったのだ。 「村長! 交渉の方は? 四分六(しぶろく)ですか!? それとも五分五分(ごぶごぶ)ですか!?」 村長は首を横に振った。村の若い衆達は七三(しちさん)のままかと落胆し、村長と同じように肩を落とすのであった。 すると、一人の若い衆が叫んだ。それを呼び水にして次々と若い衆が思いの丈を叫びにかかる。
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