怒り爆発!!!!

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 領主は捕縛された。引きずられ、まるでゴミでも捨てるかのようにポイと中庭に捨てられた。領主は中庭で無残にモノのように転がるかつての家臣達の屍を見て涙を流す。そして、施政者の矜持があるのか、農民達に叫ぶ。 「お主ら! 一揆とは人を傷つけないものではなかったのか! それをこんなに殺りおってからに! まるで(いくさ)の後ではないか!」 一人の農民が領主の頬を思い切り殴りつけた。領主の口の中に鉄錆の味がジワリと広がり、血を吐き出す。その一撃で口の中が切れ、傷口に血が染み込み激しい痛みが走る。 「黙れ! 貴様にそんなことを言う筋合いはない!」 「痛い! 痛い! 痛い!」 農民達が領主から受けてきた痛みはまだまだこんなものではない。この領主、年貢が少ないものの取り立てのために殴る蹴るなどを行う大悪党。村長始め、この村の農民達は何度も何度も領主に拳で殴られており、恨みは骨髄。 別の農民が領主に自分の手を見せつけた。指と爪の間に泥が入り込み、指のシワにも泥が染み込んだゴツゴツとした手であった。 「領主、この手を見てどう思う?」 「ヒィ……」 「汚い手だろう! 自分では食べられない米を作ってきた手だ! ところがお前の手はどうだ! 真っ白だ! 鎌や鍬の一つも握ったことのない細くて白い手だ! 何故に汗の一つも流さない領主のためにオラ達は米を作らねばならぬのだ!」 「そ…… それが領民の義務であろう…… 我は領主…… 先の改新に参加した貴き一族の末裔なるぞ…… お主らのような農民を統治するのが当然のことで……」 やはり貴族気取りか。村長は怒りに震えながら領主の顔を踏みつけ、怒鳴りつけた。 「ふざけるな! 何年前の話をしている! 貴き者であるなら、我ら下々の者も心安く生きていけるようにするのが義務であり責務ではないのか! それを貴様は自らの贅沢三昧! 貴いのは血だけで、心は人が死んでも気にせぬ腐れ外道も同然! 我らの怒り、思い知れ!」 一揆参加者全員は一斉に農具を構えた。このまま領主の体を砕き畑の肥やしにせん勢いである。
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