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そう、何の予兆もなかった。
俺に何か落ち度があったわけでもない。
そりゃあ、二つ違いの弟からすれば、王位が転がり込まない自分の立場は不満があるものだっただろう。
しかし、俺は弟のシャルルを蔑ろにしたことなんてないし、どちらかと言えば、近隣諸国の王家よりも仲の良い、平和な家庭だったはずだ。
それなのに、俺は次の王に相応しくないという烙印を知らない間に押され、そして、辺境の村にポイ捨てされた。
その場で殺さなかったのは、すぐに殺してやるほどの情けさえ掛けたくなかったからだろう。
実際、鉄格子付きの、乗り心地最悪の場所に詰め込まれて三週間旅をするという、殺された方がマシという目に遭った。当然だが食事も一日一回な上に半分腐っているという最悪さ。トイレ事情も最悪だった。
そんな最悪環境、空腹と絶望感でふらふらになった俺は、馬車から出されて村の入り口に捨て置かれたのだった。
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