廃嫡されなきゃ解らないこともある!?~血の盟約の謎~

3/236
306人が本棚に入れています
本棚に追加
/236ページ
 下手すればそこで死んでいた。シャルルは旅の途中で俺が死んでくれるのを願っていたのかもしれない。しかし、馬車の護送に付いて来た騎士の一人が、何を思ったか俺の傍に残った。そして、村人を呼んできてくれたのだ。 「おおい、レオナール。お茶だぞ」  その変な騎士、アンドレはお茶が入ったぞと二階のバルコニーから俺を呼んだ。奴は家の中の掃除担当としてぞうきん掛けをしていたはずだが、手が空いたのかお茶を入れてくれたようだ。 「サンキュー。ったく、屋根の穴がでかすぎるんだよ」  俺ははしごを使ってバルコニーに降りつつ、変人騎士に文句を言った。  アンドレは俺より五歳上の二十七歳だというが、見た目はオッサンくさい。 「ははっ。家の形を保っていたのが奇跡みたいな城館だったもんな。その昔、隣のドロイヤ王国とドンパチやってた時に建てたやつだろ。もう築五十年だぜ。誰も手入れしていなきゃ、そりゃあ屋根に穴も空くよなあ」  でもって、とんでもなく明るい性格をしている。  いや、こんなこと、あははって笑って言われても困るんだけどな。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!