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Chapter1. 『ルミエール国』
幼い頃の私は、人の役に立てたのだという実感を味わう度に、高揚感を覚えていた。
喜んでいたのは私だけではなく、家族や私の力を信じる者も同様だった。
だから、自分は正しいのだと信じていた。
人に感謝され、家族に褒められ、私は幸せなのだと思っていた。
――けれど、本当は。
人に崇められなくてもいいから、家族に自分たちの誇りだと称えられなくても構わないから、普通の女の子として生きたかった。
どうして全てを失うまで、そんな簡単なことに気づけなかったのだろう。
気づいたのに、どうして――私はまた特別な存在であることに固執し続けているのだろう。
どうして……私は――。
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