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 涙は見事に跡形もなくなっていた。とんだ役者だ。  ほらいこ、と引っ張られ振り返らずに俺らはその場を離れた。その途中で再びガキが口を開いた。 「ふふっ、貸しができたね」  いつの間にか流暢になっている喋り口調と年不相応な艶かしい表情に久々にゾクっときた。 「誰も助けろなんて言ってねえよ」 「ポケットに入ってるモノ見つからなくてよかったでしょ?」 「言ってる意味が判らねえな」
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