ママがいないと

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 ***  ぼくももう小学二年生だし、兄ちゃんは中学生で、パパは大人です。パパはおうちで仕事をしているので、いつも家にいます。三人いれば、きっとなんとかなる、ぼく達はそう思っていました。でも。 「待って待って待ってなんか電子レンジから変な音したんだけど!?」 「ぱぱー、乾燥機って、どのボタンで回すの?なんかいっぱい“コース”があってわかんないよー」 「ぎゃああああああ洗濯機に洗剤入れ忘れてる!やり直しいいいいい!」 「冷蔵庫のプリン食べたの誰!?それママの秘蔵のやつだぞ、殺されるぞ!?」 「掃除機がおなくなりになったんですけど」 「ぱぱー、目玉焼きがまっくろだよー」 「ゴキブリゴキブリゴキブリいいいい!ママ助けてえええええ!」 「俺のぱんつが見つからない件」 「ベランダの洗濯物減ってない?気のせい?」 「風呂場の電球切れたけどストックどこ!?」 「賞味期限が平成のソース出てきたんだけどこれどうすんの」 「昭和のお肉出てきたことがあったからそれよりマシだよ兄ちゃん」 「あ、パンかびてる……」 「缶詰がある場所、誰か知らない!?」  こんな具合。  ママがいつも一人でできていたことが、三人揃ってちっともできません。アレがない、コレがない、家電が動かないやらフライパンが焦げるやら。掃除をする余裕もなくなり、家はしっちゃけまっちゃかになってしまいました。  みんな、ようやく理解します。  いつも一人でやってくれていたママが、とっても凄かったこと。そして、とっても頑張っていたこと。ぼく達みんなは、ちゃんとママに感謝しなければならなかったこと。それから。  いっつもママに頼ってばっかりじゃなくて、ぼく達もできることを一つずつしていかなくちゃいけないってこと。 「もう、何これひっどいじゃないの」  しょんぼりしたぼく達を待っていたのは、退院してきたママの呆れた顔。服はちらかりっぱなし、キッチンは汚れっぱなしの有様を見てため息をついています。 「ごめんなさぁい……」  ぼくと兄ちゃんとパパは、並んで正座して平謝りです。 「これからはもっとちゃんと、ママのお手伝いするから……ぼく達に、教えてくれる?」  そう言って涙目のぼくに、ママは頭をなでて言ってくれました。 「まずは、洗濯機の回し方からね?」  大好きな大好きなママ。  もっともっと頑張って、ママをいっぱい助けられるようになるからね。
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