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軽快なステップの音楽が流れているこの場所は、ある劇団の舞台が開演される劇場である。
巷で有名なこの劇団は、劇団ルジュエと呼ばれており、規模は小さいながらもそれなりに人気のようで、一週間という短い期間ではあるが、新作の公演が行われるということで私は足を運んだ。
ここの劇団員は、役が決まるとプライベートまで役になりきり、台詞の言い回しや行動パターンなど、公演が終わるまでずっと変わらないという、熱意のある劇団らしい。
何より私は、こういうところは初めてなので、些か緊張する。そもそも、演劇鑑賞というものが一度も経験がないので、どうも勝手がわからない。
始まる前に手にしたパンフレットを見て、少しばかり内容を頭に流し込む。どうやら今回は、「おもちゃ」がテーマのようだ。
そうこうしている間に、幕前にマイクを持った女性――おそらくキャストの一人だろうと思われる――が会場のお客さんに向けて、注意事項の挨拶をする。
いよいよ始まりの雰囲気に、お客さんのボルテージもグンと高まってきていた。
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