ずっとそばにいてくれた人、ずっとそばにいて欲しい人

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翌日、私は気が重いまま登校する。 倉本くん、まだ怒ってるかな? もう仲直り出来なかったらどうしよう…… 教室へ向かう階段を上りながらも、不安で胸が苦しくなる。 しかも、今日も飯田くんは放課後迎えに来るって言ってるし…… 私、どうすればいいの? 重い足取りで教室にたどり着いた私がドアを開けると、私の顔を見た女子が一斉に集まってきた。 な、なに? 私が思わず後ずさると、やたら人の噂の好きな博子(ひろこ)が私の手をつかんだ。 「(もえ)、おはよ。ちょっと昨日のあれ、何!?」 博子は尋ねながら、私を教室へと引っ張っていく。 「何って……」 聞かれて答えるほどのことは何もない。 「いつから飯田くんと付き合ってるの?」 「えっ?」 驚いた私は、リュックを下ろすのも忘れて固まった。 「倉本くんと付き合ってたんじゃないの?」 「は?」 立て続けに質問を投げかけられて、どう答えていいか、分からない。 「まさか、二股?」 「はぁ!?」 意味分かんない。 誰とも付き合ってないのに、なんでそうなるの!? 私が、うまく答えられずに、口をパクパクさせていると、倉本くんがその人混みをかき分けて入ってきた。 「悪いけど、部外者は黙っててくれる? ちょっと佐々木借りるよ」 そう言うと、倉本くんは、私の右手の手首をつかんで歩き出す。 「あ、ちょ、ちょっと待って。リュックだけ下ろさせて」 私が慌ててそう言うと、倉本くんはパッとその手を離した。 私がリュックを下ろして、机の上に置くと、倉本くんは再び私の手を引いて歩き出す。 そのまま、その階の端にある自習室という名の空き教室に入ると、ピシャリとドアを閉めた。 「俺は聞いてもいいよな? お前、飯田とどうなってるんだよ」 倉本くんは、昨日ほど怒ってはいないように見えるけれど、いつものような笑顔は見せてはくれない。 昨日とは違う、静かな怒りを感じる。 「別にどうもなってないよ」 私は、それだけをようやく絞り出す。 「飯田に告白された?」 倉本くんの思ってもいない質問に、私は焦り始める。 「な、ちがっ、そんなことされてない」 倉本くんには、誤解されたくない。 でも、何をどう説明しても言い訳にしか聞こえない気がして、うまく言葉が出てこない。 「じゃあ、昨日、何話したんだよ」 尋ねられて困った。 だって、そんなの全然覚えてない。 「えっと……」 答えられない私に、倉本くんはいらだち始める。 「俺には言えないことか?」 私は、慌てて首を横に振る。 「ちがっ、そうじゃなくて……」 うまく言えない自分が悔しいのか、倉本くんに責められてるのが悲しいのか、よく分からないけど、涙が込み上げてくる。 必死で涙を堪える私を見て、倉本くんは唇を噛んだ。 「……ごめん」 そう呟く倉本くんも、辛そうに見える。 私は、必死で首を横に振った。 倉本くんが悪いんじゃない。 そう伝えたいけれど、口を開けば泣いてしまいそうだから。
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