プロローグ

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プロローグ

  大切なものを失ってまで、生きることに意味なんてあるだろうか? 本当に大切で代わりになるものはお金では買えない。 そして、失えば二度と手に入らない。 だから、心から大切なものを失えば、人の心は奈落に突き落とされたかのような絶望を味わう。 そんな人間の弱さをあざ笑うように死神Ker(ケール)は人の命を弄ぶ。 人間の心の傷跡に繋がる記憶を呼び起こし、その心の弱さにつけこみ眷属という名の化け物に変えてしまう。 そして、眷属となった人間に人を殺させ、その死体の血を吸い貪る。 殺された者を大切に想う者の目の前で…。 その光景を目にして、残された者の心は壊れていく。 死神と呼ぶにはおぞましい、残酷な死神Kerの行為によって…。 残されたの心に残るのはKerへの憎しみより深い感情だった。 失って初めてわかる、それこそが唯一無二の存在だったということを。 喪失による哀しみを。 後に残るのは大きな心の傷跡。 そして、その傷跡はKerがつけこむ隙となり、やがて眷属にされることもあるだろう。 傷跡を抱えたまま戻らない人を想いながら生きていくか、眷属にされ人を殺すか…? Kerにより、最悪の人生に未来を書き換えられても…。 それでも、生きるしかない人生に意味なんてあるだろうか?
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