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商店街を抜ける頃、鳴り出したスマホを見ると、それは茉莉子じゃなく凪沙。
庄島凪沙。福島から女優目指して上京して、たまに読者モデルをする他は風俗の店で働いてる。
半年前、ふらっと入った飲み屋で働いてた女の子。それ以来、俳優の養成所仲間の安道、乾堂と4人でつるむことが多くなってる。
ーー今夜8時にいつものとこで街飲みしよ!
との誘い。いつもの所ってのは新橋駅近くの公園のこと。緊急事態宣言が出て飲み屋も開いてないし、元々飲むお金もないから、1000円の一升瓶の焼酎を割り勘で買って飲んで騒ぐ。ただそれだけの会。
「マジ政治家なんてさ、自分たちだけはしっかり給料とってるくせしてさ、俺ら下々なんてシカト」
「ヤス、うちのラーメン屋昨日で閉店だぜ。これでまた無職のプー。お前んとこの焼き鳥屋はまだいいよな。倒産してねえから。マジ、コロナ、コロナって煩えんだよ。クソじじいは」
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