コロナに過敏になりすぎ?

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86d9b7c4-3f89-4282-822b-1c07d4ef4925 「ただいま。もう疲れたあ」 バッグをソファに放り投げてそのまま二階に上がろうとした朱音。 「アンタ早いんやね」 「たっくんと喧嘩した」 「また?」 「余計なお世話。コロナが悪いっちゃん」          コロナか…        庵…ワクチンしたかなあ… 「ご飯食べるよね」 「うん。その匂いは肉じゃが?」 「そう。アンタ、シュッシュしてきた?」 「したーっ!当たり前じゃん」  うちには至る所に消毒液がある。玄関の外、中、台所、洗面所、それにみんなの部屋。人には「やり過ぎっちゃない?」って言われるけど、うちには年寄りが三人いるし、基礎疾患(きそしっかん)があるんだからどんなに注意してもし過ぎることはない。 アタシの不注意でお父さん達が死んだりしたら一生後悔しなきゃならない。そんなことだけは絶対に嫌だから。 夕飯を済ませ居間でビール片手に(くつろ)いでると膨れっ面の朱音が降りて来た。 「あーっ苛々する!アタシもビール頂戴」 「あ、うん…はい」 荒々しく缶ビールをアタシの手からむしりとるとリングプルを思い切り上げゴクゴクと一気に三分の一くらい飲みテーブルに叩きつけるようにドンと置いた。 「拓司がどうかしたん?」 早見拓司ーーーアタシと同級で昔からのお調子者。それでも嫌じゃない。それなりには優しいし。高校を卒業した後、長野市内にある専門学校に行ったあとコンピューターグラフィックの仕事をしてたはず。
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