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「ふぅ」 夫の幹也(みきや)との通話を終えた私は、イスに深く座り直して息を漏らす。 このキャンプ用のハイチェアは少々値が張ったが、座り心地抜群の買って良かったと思える一級品だ。 私達が住む地域は山々に囲まれており、近隣にはアスレチック場やキャンプ場も多い。 ソロキャンパーの幹也(みきや)も、よく週末にキャンプを楽しんでいる。 「電話、パパさんからですかにゃ?」 「そう。コンビニ寄ってから合流するってさ。メールだと不思議と敬語になっちゃうから、電話の方がラク」 「そういう人って意外にいますよね。家族や夫婦間だと特に」 「なんで白太(しろた)が知ってんのよ?」 「なんででしょう?なんとなくでしょうかね」 ちなみにママキャンを始めると必ず足元にやってくるようになったこの白猫は、なぜか開催中だけとても流ちょうに喋る。 目つきが鋭くて誰も近寄らなそうな強面猫だが、話してみると意外と人懐こくて憎めない奴だった。 白猫だからとりあえず白太(しろた)と呼んでいるが、本人は分かってるような分かってないような。 まあ、細かいことは気にしないでおこう。
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