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「亜美!お待たせ―」
ビールが入ったコンビニ袋を下げて、幹也がやってきた。
「お!お前もいたのか」
彼は私の足元で待機している白太に一声かけると、別のイスをすぐ隣に並べて座った。
「はあどっこいしょ~!仕事疲れたぁ」
「お疲れ様。一人で晩酌でもして寝たらいいのに」
「ああ、ママキャンの邪魔だったかな?ならそうするけど」
「いや、もういいよ。ビールもありがとう」
そう言いながら私は彼が無造作に置いた袋を漁って缶ビールを取り出す。
「白太と喋ってたところだしね」
「へえ?面白いね~」
何故か白太の言葉は私にしか分からないようだった。
「この子がね、母は偉大で忙しいってさ」
「そりゃそうだ」
「そりゃそうだじゃなくて。あんたも私を敬いなさいなっ」
幹也の頭を軽く小突くと、彼はアハハと笑って何度も頷いた。
「そうだね、感謝は伝えないと。いつもありがとう」
彼に促されて、変なタイミングながらビールで乾杯した。
「そう思うならソロでばっかりキャンプしてないで、たまには子ども達も連れて行ってよね」
「だな。じゃあ今度レンタカーでも借りるかな~」
私たちの会話を聞きながら、白太は眠りモードだ。
イスの下で寝る姿勢を作ろうと、さっきから毛づくろいしている。
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