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ほわぁ。校舎でかっ。体育館ってどこだしっ!あ、地図あった。えっと。あ、あった体育館。あ、目の前じゃん。行こ。
ー ー ー ー
「当校は音楽に力をいれーーーーーーーー」
あれから30分私は校長のありがたーーーい話を聞いていた。この校長話、長くない?もう10分くらい喋ってるよ?
「これで終わります」
あ、終わった。
人の流れについて行く。そしたら教室に着く。自分の席に座る。窓側だった。窓側?名前順じゃない?じゃあ何順?よし。聞いてみよう。前に座っている子の背中を叩く。するとその子が振り返る。わぉ。かわいい。
「…なに?」
声も鈴を転がしたような感じでかわいい。おっと、質問しなきゃ。
「この席順って、何順?」
すると、その子はお前何言ってんの?って顔をする。私が余程不思議な顔をしていたんだろう。ため息をついていった。
「はぁ。あんた何も知らないのね。これは成績順よ。あんたの窓側の一番後ろが一番低い子。」
「へぇ〜。」
なるほど。そういうことか。でも机の数少なくない?
「じゃあ。じゃあ。なんでこんなに席が少ないの?」
「あんた、そんなことも知らないの?ここはエリートたちが集まる教室よ?入試の1位から10位までがここにいるの。」
「へぇ〜。」
「てか。あんたさっきから他人行儀だけど、あんたが1番このクラス落ちる可能性が高いのよ?」
落ちる?
「はぁ。テストの成績でクラスが変わるのよ」
「なんで言ってないのにわかったの?!」
「顔に出過ぎなのよ!」
解せぬ。怒られた。理不尽だ。
「あ、そうだ。あなたの名前は?」
「え?この子、マイペース過ぎない?」
その言葉はスルーだ。
「名前」
「え、ええ。私は、一色紗織よ。ヴァイオリンができるわ。あなたは?」
一色!有名なヴァイオリニストの家系だ!私と同い年の子いたんだー。
「私はかぐ…葉月花奏。」
よし。間違えたけどなんとかなった。地味に生きるために、私は母方の姓を名乗ることになった。
「楽器は?」
え?楽器?できるってこと?うーん。そうだ!
「えっと。楽器はピアノができるよ。」
「そう。ピアノね。私もできるわ。じゃあ、ピアニストの神楽凛って知ってるわよね!私、大ファンなの!なんと言ってもあのーーーーーーー」
ええ。知ってますとも。母親ですし?でも、世間のイメージとちがうのよねぇ。世間では凛としててかっこいいとか言われてるけど、家ではあんなにのほほんとしてるんだよ。
「む。聞いてる?」
やばい。聞いてなかった。
「き、聞いてるよ。」
「そう。ならいいわ。というか、そういえば神楽凛の旧姓って葉月だったわよね?まさか、親戚とか?!いや、ないわね。だってこんなにのほほんとしてるんだもの。」
ん?褒めてる?それ褒めてる?
ガラガラガラガラガラ
「はーい。みんな席に着いて〜」
このタイミングで何ということでしょう。担任が入ってきました。
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