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1曲目『黒き王子は謳う』~A・ベイン「オルノーコ」より
我が妃(きさき)、我が妃よ!
王家のヴェールを纏った処女(おとめ)よ!
黒い肌の美しき娘にして、
夏の草原の穢れなき秘宝よ!
この灼熱の大地の果てに広がる
海の波の様に波打つ豊かな髪には
小さく鮮やかな宝石、輝ける黄金の装飾が
綺羅星(きらぼし)のように散りばめられ
その黒く艶やかな肌には
花々の文様の(もんよう)の白き入墨が
匂い立つように咲き乱れる
厚みのあるふくよかな唇は
我らが崇める赫々とした太陽の様に熱く
優しく口にふくめば果実の様に甘く滴る(したたる)
嗚呼、美しき祖国コラマンティエン王国の黒き娘よ
人は我らを蛮族と嘲り
罵り、そして嘲笑う(あざわらう)だろう
だが私はこうして歌う、野蛮な剣(つるぎ)を打ち捨てて
この誇り高き喉(のど)を震わせ
この燃える舌の上に迸る(ほとばしる)情熱を乗せて
高らかに
夜の闇、静けさ、若さ、欲望、愛という
人々の生と喜び、営みの全ては
ことごとく「黒」の中から生まれるものだと!
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