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佐々木さんは何も言わなかった。図星だな。俺は手を放して椅子に腰を下ろす。山崎園子。星口玩具の社員だ。どちらからの提案だったのだろうか。確か佐々木さんは4月生まれだったはずだから、山崎さんからのプレゼントだったりしたのかもしれない。
「青春ですな」
「ペアリングは青春なんですか」佐々木さんは呆れたように言ってから思い出したように「松下さんたちは最近どうなんですか」と聞いてきた。「来月社長の誕生日ですよね」
そう。来月24日は二郎君26歳の誕生日。もちろん既にリクエストは聞いてある。欲しい物はないか、行きたい場所はないか、食べたい物はないか、等いろいろ聞いた。問い詰めた。日を置いて何度か訊ねた。しかし回答は、1日一緒にいて欲しい、と。泊まりに来て欲しい、と。それだけだった。いや、まあ、確かに彼は社長だ。養父もそれなりの金持ちで欲しい物なら大概は手に入る。やりたいことがあれば大概はできる。
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