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 二郎君は町内のスーパーにほど近い3階建てのマンションに住んでいる。家賃四万円の1K。幼少期からあまり裕福ではなかった二郎君は広い部屋だとかえって落ち着かないのだと言う。昼頃に駅で待ち合わせた俺達はスナック菓子やらジュースやらをドラッグストアで買い込み宅配ピザを予約してマンションに向かった。二郎君は酒を呑まない。というか呑めない。すぐに気持ち悪くなって楽しく呑めないと本人は言っていた。俺も積極的に呑みたいタイプではない。だから今回アルコールはなし。外は雨。梅雨時だから仕方ない。それに今日はどこかに出掛けるプランではなかった。お家デートなのだから。  玄関は直接キッチンに繋がっていて、右手にトイレと風呂場がある。奥の洋室は7畳ぐらいか。テレビとローテーブルと本棚とベッド。アルミラックには本とDVDが並んでいる。ベッドに既視感を覚えて近付いた。俺は背が高めなので普通のシングルベッドだと少し窮屈に感じる。そのため実家では185cmの体が余裕で収まるぐらいの長さのベッドを使っていた。二郎君の身長では持て余すであろうロング丈のベッド。これは間違いない。
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