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目がとけそうなほど泣いた数時間後。 俺はふつうに塾に向かい、数学と古文の講義を受けて帰りの電車に揺られていた。 失恋ってすごい。今はかろうじて我慢しているけれど、油断しているとすぐにまた涙があふれそうになる。 一方、同じくらいお腹が空腹を訴えてきた。そういえば昼食を食べていなかったっけ。人間の身体ってすごい。失恋してもちゃんとお腹はすくものなんだ。 駅の改札をくぐると、立ち止まることなくまっすぐ交差点を渡った。 今までの俺なら、みっくんが帰ってくるまでファストフードや本屋で時間をつぶしていたんだけど、もうそんなことをする必要はない。みっくんと二度と登下校することもない。 ああ、やばい。それはそれで寂しいな。 今日起きたこと、全部リセットされないかな。 でも、みっくんの前でこれまでどおり振る舞える自信がない。やっぱり、もう二度と会わないほうがいいんだ。 そんなことを思いながら歩いていたから、いつもの、朝、俺が声をかける交差点まで来たとき、大げさではなく本当に悲鳴をあげそうになった。 だって、見慣れた人影があったから。 「よう」 あのとき──俺が女子だってバレたときと同じ。 みっくんは、ガードレールに寄りかかってこっちを見ていた。
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