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「ただいまなのですっ」
「ふふっ。シャルルちゃんお帰りなさい」
「えへへー」
みんな大好きスーパーヒロインシャルルちゃんのご帰還ですよー。
や。誤解なの。調子に乗ってごめんなさい。
えぇと、今のところ魔法少女生活はまぁ順調かなと思うのです。
もちろん、素敵なお姉様たちが側にいてくれているおかげでね。
「どーかな?アリサお姉ちゃん。今回はすっごくがんばったんだよ?」
「ふふふ。そうみたいね。でもちょっと処理に時間がかかっちゃうから待っててね?」
「はーい」
いつものことと分かっていても待ち遠しいんだもん。
アリサお姉ちゃんには頭をひとなでされて軽くかわされちゃった。
代わりと言っては何だけど、わしわしとちょっと乱暴に頭を撫でる手が。
マオお姉ちゃん。せっかく可愛くできた髪がくちゃくちゃになっちゃうよぅ。
「シャルルちゃんが調子に乗るからでしょー」
「あぅ。ごめんなさい」
新しく覚えた魔法はすぐにでも試したくなるのが魔法使いってやつだもん。
……うん。ごめんなさいなの。幼心のせいだと思うの。うん。
まぁ、地形を変えたりとかはさすがにしていないのでそろそろ許してほしいなぁ。
「たまたま人がいなかったから良かったものの、万が一があったらどうするつもり!?」
「え、えっと、ターゲットを魔物だけに限定すればだいじょぶなの」
「っ……この、お馬鹿娘」
「ふ、ふえぇぇっ」
グー、グーはダメだよぅ!?
──ゲームみたいに制限とか簡単に出来るものじゃないもんね。
これが現実。何度も何度も練習して制御出来るようになって初めて習得したと言えるんだよね。
ごめんなさい。魔法書を買っても浮かれないよう気を付けます。
「相変わらず仲が良いわね」
「もうっ。最近はお転婆過ぎて大変なのよ?」
「あら、それは大変ね。アリサお姉ちゃんからも指導が必要かしら」
「……ぇ?」
な、何のお話?ねぇ?
あのー、そろそろご褒美は?
私、頑張ったよ。そろそろランクアップ出来るんじゃないかなって、楽しみにしてたんだよ。
うん。あのね、真剣なお姉ちゃんたちも素敵だよ。美人さんの分だけなんだかちょっと圧を感じてしまうくらい。
「シャルルちゃん」
「な、なぁに?アリサお姉ちゃん」
どどどうしたのかな。
いつもなら、うん。優しく笑顔でなでなでしてくれるのに。
「報酬はちゃんと後であげるからね、心配しないでね。それより今からお姉ちゃんと一緒に美味しいものを食べに行かない?」
「ふぇ?」
美味しいもの?お肉はそんなに得意じゃないよ?
甘いものだったら。一生懸命頑張ってきたので甘々のスイーツが食べたいです。
「素直な娘ね」
「え、えへへ」
お恥ずかしながら全部顔に出ていたようです。
美味しいものに頬が緩んでいたのも。お姉ちゃんたちからのお仕置きにビクビクしてたのも。
褒めてはない、よね?そんな可愛い可愛いされたらどうしても嬉しくなっちゃうの。
「素直なのは良いことだよ、うん」
「本当。この純粋さをいつなくしてしまったのかしら」
アリサお姉ちゃんの幼少時代、気になります。
でも、そんなこと言えない雰囲気。
「大丈夫。私よりずっと話上手だから」
「ッ!」
それ、一番怖いやつ。
ぐすん。泣き虫だけは全然治る気がしないの……
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