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────ん、んんぅ?
街の中、か。まあいきなり戦闘開始じゃなくてホッとしたわ。
ここはどこだ?なんかよくある噴水広場的な?
ええと、あれ?ステータスとかマップってどうやって見ればいいんだ?
「おや、新人さんかな?」
「?」
「ふふっ。やるよねどこかボタンを探したり、呪文みたいに唱えてみたり。でも残念。そういうゲームみたいに都合の良いものは“この世界”には存在しないんだよ」
「えっ」
がさごそぶつぶつやっていたオレにお姉さんが教えてくれる。
何とも、まあリアルっちゃリアルだがそこはゲーム性があってほしかった。
「とりあえず自分の姿は確認した?」
「えっ?あ、ええと、まだですけど」
声は確かに女の子になっている気がした。
これが本当に普通の少女の声なのか、アニメ声的な甘い感じなのかは果たして自分の耳では分からない。
「後ろ。噴水の水に映る姿を見てご覧」
水面に映るのなんてそんなキレイじゃあなくないです?
と、思うけどお姉さんが騙そうとしている雰囲気はないので素直に従う。
てか、ド素人のオレを騙して何の得があるんだっていう話だよ。
──水面には少し透明感のある美少女がくっきりと映し出されていた。
……我ながらマジで可愛いな。
でも見た感じ歳のほどが10歳そこらくらいにしか見えない気が。
とはいえ。笑顔を作れば水面に映る美少女が愛くるしい笑顔を向けてくれる。
「かわいい……えへへ」
「理想のロリっ娘って感じ?」
「ひゃぁ!?そそそそんなこと」
ありましたごめんなさい。
思いの外幼かったけれど、なりたいのは美女じゃなくて魔法少女だから許容範囲内。
「気を付けてね。元がどっちかは聞かないけど、この世界に来たら今の姿が全てだから」
「ぇ──?」
お姉さんのトンチ的な謎警告を理解するのにそう時間はかからなかった。
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