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「私はマオ。よろしくね」
あ。えっとオレはソウ──じゃなくて。
何してんだ。最強最かわな魔法少女を目指すんだろ。
「わたし、シャルル。マオお姉ちゃんよろしくお願いしますなの」
明るくはきはきと。天使スマイル()でどうだ?
「あ、うん。よろしくシャルルちゃん」
効いてない、だと。
まぁ、そんなもんだよな、うん。
たとえ美少女になったからってお姉さんがすぐにデレてくれるわけないよな。
とりあえず差し出された手を握る。やっぱり小さいな。
「ぅわ」
「?」
「んっ、んん。とりあえずギルドに行こうね。そこで全てが分かるから」
「う、うん」
意味深だけど繋いだ手を引かれるままに歩いた。
初対面でも優しくしてくれるのはオレが初心者だからかな。
いやでも、右も左も分からない内に優しくして言う事聞くようにさせてみたいな話もあるって言うし……
「マオお姉ちゃんは優しいね」
思いきって突っ込んでみる。
この人はたぶんきっと純粋にオレを手助けしてくれようとしている。それを疑うより信じたいんだ。
あと、可愛い妹ポジで攻めたらイケるんじゃないかな、と。
「や、優しいだなんてそんなこと」
「ううん。マオお姉ちゃんがいなかったらわたし、きっと何にも出来なかった。マオお姉ちゃんがいてくれてよかった」
──ちょっとあざとすぎるか?
内心鳥肌もんだけど、今のオレは言うなら初めて都会に来て迷子になった美少女シャルル。
期待よりも不安がいっぱいでマオお姉ちゃんに会えてすごくホッとしたんだ。
「もうっ」
「ふぇ?」
「もうもうもうっ。せっかく我慢してたのにそんな可愛い事言っちゃダメでしょ!」
「ひゃわっ!?」
飛びかかるように抱きしめられました。
ぎゅーぎゅーすりすり。されるがまま。
女同士だしおかしくないよね?恥ずかしだけでイヤじゃなかった。
マオお姉ちゃんがこの姿の“私”を気に入ってくれているみたいだから。
「優しくなんてないよ、シャルルちゃんだから。こんな可愛い娘が何も知らされないまま酷い目に遭うのは許せなかっただけ」
ちょいちょい不穏なワードが聞こえるのは気のせいだよな?
落ち着いたのか抱きしめる力が緩んだので今度はこちらから抱きついてみた。
ビクってなってたけど大丈夫、今のオレは可愛いロリっ娘。セクハラなんかじゃない。
抱きしめ返してもらうと、あー、すごい落ち着く。
「何があっても私はシャルルちゃんの味方だから。気を強く持ってね」
「は、はいっ」
ゲームなのにと思いつつ。開始早々素敵なお姉ちゃんと出会えました。
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