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「シャルルちゃんスマホ持ってない?」
「ふぇ?」
「スマホ。もしくは携帯電話。きっと持っているはずだと思うけど」
ケータイ=スマホという認識はオレだけですか?
まさかゲームの世界で急にリアルな単語が出てくると思わなかっただけなんだけど。
なぜか確信を持ってるマオお姉ちゃんの言う通り自分の体ぽんぽんと探ってみる。
一昔前の魔女っ子みたいなローブ。顔は良いのに服装が正直心許ない。
──ぅゎ。まさか、アレも着けていないなんて。
年齢的には許されるのか?いや許されないだろ。無防備すぎるぞこの美少女。
「ぁっ」
「見つかった?」
「ぅ、ぅん」
内ポケット、つまり無防備な胸を代わりに守るかのようにヤツが存在していた。
なんでこんなとこに。確かになくす可能性は限りなく低くなるんだろうけどさ。
しかしでも、やっぱりこれはアウトでしょ。
「そ、そんなところに持ってたんだ」
「ち、違いますからね。決して」
いきなり自分の胸をまさぐるヘンタイと勘違いしないでください。お願いですから。
「まあ無事に見つかって良かったよ。キミのお望みのものが分かると思うから開いてごらん」
「分かりました」
電源ボタンを長押ししてしばらく待つ、なんてことはなくすぐに画面が開いて、指紋認証して下さい?
この娘の記憶なんてオレにはないんだけど、とりあえず触れてみるしかないよな。
開いた。何と言うか、まあそう来るよな。
可愛らしい待ち受け画面が表示されることはなくて出てきたのはMENUの文字。
「ステータス、マップ、アドレス帳もあるんですね。電池はちゃんと充電されてるし」
「その代わりアプリなんてものは一切ないからね。めったに電池は減らないけど充電は忘れないように」
「うん」
ファンタジーな世界にいて二次元を楽しもうなんてことはないな、うん。
「ひとつ、見落としていないかな?」
「はい?」
「キミが一番気になっていたこと。この世界に来てまず最初に確認しなければいけないこと」
ええと。自分が理想の姿になっているかどうか、は違うんだよな。
なんだっけ?ステータスでもマップでもない、重要な何か。
「分からない?ねぇ、ゲームなら普通セーブしたりリセットが出来るよね?」
「えっ──」
そういえばこのゲーム、ログアウトはどうやってするんだ?
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