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いやそんなまさかぁ。あれでしょ?オートセーブ機能がついてて、教会的なとこに行けばちゃんと出られるって。
「ないよ、そんなもの。この世界が現実。バーチャルじゃない、リアルそのものなんだよ」
は?いや待って。マヤお姉ちゃんの真剣な表情もさっきの抱きしめられた時の温もりも本当よく出来てるなぁって。
バーチャルリアリティは現実世界をも超えるってこと?
そりゃあまあ、あんなドラゴンが現れただなんて平和なあの国では天変地異そのものだよね。
──地面が揺れていた。自然に起きたものじゃなくて、ドラゴンの咆哮が大地をも揺らしたんだ。
え、これなにマジ?は?現実?
ぁ。お腹が痛くなってきた。
「大丈夫?」
「あぅ。その、お、おなかが」
ゲームにそんなリアルは求めちゃいないって思いと、つまりは逆説的にここが現実なんだと妙に納得してしまう。
強がることも出来ないか弱い女の子になってしまったんだなって。
「えっ!?だ、大丈夫よ。さっきのアレはよくあることだか
ら。こっちの上級者にかかればアイツだってイチコロよ」
「……はは、すごいですね」
それと励まし方がちょっと変わってるねマオお姉ちゃん。
『何があっても私はシャルルちゃんの味方だから』
じんわりと心に染みてくる。初対面なのに、中身は得体の知れない奴なのに。
「な、なに泣いてるのシャルルちゃん!?」
「ぁ。ぇへへ。だって、うれしくって」
「嬉し泣き!?」
涙もろいのも発育途上の女の子だから。
まだまだこれから大きくなって強くなってマオお姉ちゃんみたいに誰かを支えられるようになるんだ。
「マオお姉ちゃん。わたしのこと、好き?」
「へっ!?き、急にそんなこと言われると困っちゃうなぁ。あはは」
「わたしはマオお姉ちゃんのこと大好きだよ」
「はぐっ!?」
初対面の人にここまで委ねるなんて、とか言うなよ。
新たな人生と言うならこれもまた運命。オレはお姉さんを信じるって決めたんだ。
「すすす好きだよ、私も。シャルルちゃんすごく可愛いもん」
「えへへ。それじゃぁ、一緒にギルドに行こ?」
「うん、行こっか!」
「ん。それとね、これから先もずっとわたしと一緒にいてくれる……?」
「っ。もちろんだよ!」
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