9人が本棚に入れています
本棚に追加
ギルドに着いた時の一瞬の静寂、それとジロジロと品定めされる視線はきっと忘れられない。
前者は緊張とか不安で、後者は不快感で。
マオお姉ちゃん普通に美人だもんね。隣に妹だとしても幼すぎる女の子連れて来てるし。
……自分で言ってて泣きたくなってきた。
──えっと。体格及び年齢はステータスにものすごく影響するの。
子ども体型だと素早さは確かによく伸びるけど体力も力も全然成長しないの。大人は逆に素早さはあまり変わらないんだけど。
そこでオレのとんでもないミスが発覚。
体力=ゼロは死を意味する、が上がらないということはどれだけレベルを上げても一発食らえば死ぬということで。
しかも極振りしたから一般人以下どころかニワトリ並みの体力しかないみたいで。
スラ○ムの体当たりで、いやコ○キングのはねるでも万が一が起きそうなくらい非常にヤバいことになってた。
「い、一応完全ガードする方法とかはあるからね!?攻撃された時点で終わりじゃないからね!?」
達人技な感じしかしないけど頑張るしかない。というか頑張らなきゃ死ぬだけだし。
あと逃げ足だけはめちゃくちゃ速くしてあるから、何とかなる……?
ともかく何か事を起こす前この人に出会えて本当に良かった。
マオお姉ちゃんは女神様だよ。
そして今はギルドの更衣室にいた。
ちなみに自慢じゃないがギルドで真っ先に駆け込んだのはトイレだ。すっげぇ世知辛い現実でした。
色々と不安も込み上げてきたのでトイレ中もマオお姉ちゃんに待機してもらっていたのは二人の秘密だ。
だってか弱い女の子だもん。
「シャルルちゃん大丈夫?」
「だいじょうぶじゃないかもです」
「えぇ!?」
魔女っ子ローブからいわゆる戦闘服に着替え中。
ギルドは初心者にすごく優しかった。駆け出し用の装備一式と実戦前の稽古までつけてくれるらしい。
というか下手に放り出して野垂れ死なれてはたまらない、と言う事だろうか。
「あの、えっとね、マオお姉ちゃん」
これの着け方を教えて下さい。
「あっ。まだ小さいからって油断しちゃダメだよ。恥ずかしいかもしれないけれど、女の子にはとても大事なことなんだからね」
「う、うん」
都合良く誤解してくれたみたいです。
ほんのりと膨らみかけのそれ。
恥ずかしくてくすぐったくてどうにかなりそう。
大切にします。
「あの、スカートでいいのかな?」
「え?嫌だった?」
イヤとかそういう問題じゃなくて、スカートで動き回ったら見えちゃわないです?
「だってこっちのほうが可愛いじゃん」
そりゃそうだけど。傍から見る分にはすっごく可愛いけど。
あれ?恥ずかしいとか思うほうが変なのか?
「ごく一部を除いてそこばかり意識する人はいないから。上半身裸のムキムキ野郎よりもプリティキュートな女の子を皆応援するに決まっているの」
「う、うん」
どこの世界にもいるのかその手の変態は。
そしてマオお姉ちゃんの言い回しはやっぱりどこか古いです。
まぁ、うん。覚悟を決めなきゃな。
目指すはみんなのヒロイン魔女っ子シャルルちゃん!
最初のコメントを投稿しよう!