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「さて。次は服を買いに行こう」
「ふぇ?」
無事に駆け出し冒険者としての登録を済ませたあと。マオお姉ちゃんが生き生きと私の手を引いていた。
「お、お姉ちゃん?あのわたし、お金が」
「なーに言ってるの。子どもがそんな心配しない」
「あぅ」
中身はそこまでじゃないんですが。
と、思いつつもやっぱりここでも甘えてしまう。見た目相応の甘えん坊だ。
きっと自分で思っている以上にこの人のことが好きで、大事にしてもらえて嬉しいのかもしれない。
「マオお姉ちゃん」
「ん?どしたの?」
「えへへ。大好きっ」
「っ!もぉ、なぁに急に」
「えへへへへ」
ずーっとお姉ちゃんお姉ちゃんってくっついて甘えて、甘えて。
恥ずかしいなんてちっともなかった。
可愛いって。頭をなでなでされたりして。可愛がってもらえていることがすごく嬉しかったから。
そうしていつしか運命の人に──?
……だめだめ。いまはなにもかんがえられない。
最高に可愛い女の子になりたかったけれど、男子に好かれたいっていう意味じゃないから。
はぁ。女の子同士、かわいいもの同士でいちゃいちゃしていられたらなぁ。
「いや、あの、それだけはもう本当に」
「ダメだってば。今は大丈夫とか言っている場合じゃないの」
「そ、そうじゃなくって」
下着。夢が詰まったこれを守るための大事なもの。
……夢って言うとあまりに悲しくなってくるな。大きさ的に。
単純に気恥ずかしいだけ。可愛らしすぎるデザインも、この成長途上にもほどがある胸にも。
逆にまだまだ子どもでいたいかも。女性らしさなんて言うものは早すぎると思うんだ。
「ん、ぁっ」
「ほら。敏感なんだからしっかりと守らなくっちゃ」
「っ〜〜!?」
ぅ、ぁ──や、も、もむのはさすがにアウトでしょ!?
女同士だから気にしない。じゃなくて気にしてください!
意識しすぎ?ぅー、ぜったいちがうもん。
「あの」
「ごめんごめん。シャルルちゃんが初々しい反応をしてくれるから、つい」
「もぅ。今回だけだよ?」
「はい、反省してます」
「うん。わかってくれたならいいの──じゃなくって!」
「えっ?」
えっ?じゃない!
ブラジャーの扱いには慣れてきたからいい加減出てってってば。
「せっかく選んできたんだけど、ちゃんと似合うかなぁと」
「もう試着は終わりなの!」
嬉しそうに握りしめているそれでいいから。全部マオお姉ちゃんが決めてくれていいから。
お願いだから、着せ替え人形はここまでで終わりにしてください。
ぱんつ。は、さすがに試して見せるなんてことはしないの。
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