1章

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「では、問題です! 世界三大珍味のであるフォアグラ、トリュフ、そして……」  その瞬間、お笑い芸人の一人が「キャビア!」と元気よく答えるが、不正解のようだ。 「ですが……そのキャビアの別名はなんでしょう?」  俳優の一人が「黒い真珠」と答えた。正解のようだ。  テレビを見る気力がなくすぐ消した。  パスタも最後まで食べる気がせず、捨てることにした。  とりあえず妻にメッセージを送る。どう言うことか説明して欲しいと。  しばらくすると着信が鳴った。 「もう、あなたとは無理なの。だから別れて」  電話口から漏れる弱々しい声。 「待ってくれ! 俺は……せめて花奈(かな)の声を……」  その瞬間、スマホを取り上げるかのように「……ということだ、昴くん、娘とは別れてくれ。七波に君は相応しくない。花奈はこちらで育てる」と低い声。義理の父だ。 「お義父さん、どういうことですか! 二人はどこにいるんですか!」と聞く前に一方的に着信が切れた。  何でここで義理の父が出てくるんだ。  いつも夫婦で何かあったら義理の家族が出てきて、折れるのは自分だ。
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