7章

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 昴は天文堂の紙袋を「皆さんで召し上がってください」と大屋に渡す。 「おーっ! さっすがカネさーん! ありがとうね!」  贔屓しているお店のお菓子をもらって声が高くなる大屋。 「立ってるのもあれなんで、どうぞこちらでお待ち下さい」  大屋が二人を打ち合わせスペースの上座に案内する。  大屋はすずらんを呼んで「菱村昴さんとカネさんが来てるからお茶用意して」と頼みに行った。  お茶出しがてら、一緒に話を聞いて欲しいということなんだろう。  すずらんと大屋が来ると、昴とカネさんは「先日はお世話になりました」と二人して立ち上がって頭を下げる。 「いやいや、そんなことありませんよー。最近の花奈ちゃんの様子はどうですか?」 「元妻と坂東遥斗によってガレージに長時間閉じ込められてから、暗い所が苦手になりました。家を暗くすると泣いてしまうので、夜は小さい灯りをつけて一緒に寝ています。元妻のことを怖がっていて、時々思い出しては泣いてることがあります。学校はなんとか行ってる感じですね……」
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