7章

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「だからな、花奈ちゃんの様子を俺たちで時々見に行ってるんだ。カミさん連れてな。昴の両親も心置きなく花奈ちゃんに会えるようになって、嬉しそうだよ」 「でな、菱村七波は花奈ちゃんに手をだしてたんだ」  大屋とすずらんは身を乗り出して話を聞く。 「暴力ですか?」 「ええ。足を蹴られたり顔をはたかれたと。坂東遥斗に連れされるときに、車で妻がやったと。花奈は家に帰りたいと訴えたので、言うこと聞かないからという理由で。ほんと、自分のことしか考えてないなって思いました。そういう意味では気づかなかった私も同罪ですが」  自嘲気味に話す昴に大屋とすずらんは顔を見合わせた。  菱村七波が花奈に手を出したかもしれないという話はちらっと聞いていたが、まさか本当だったとは。日常的かどうかは怪しいが、あのヒステリックな性格だと有り得そうだ。
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