終章

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 しかもそのディナーというのが少し割高で、高級な感じがあったので、花奈としては長時間お行儀よくいるのが苦痛だった。それを分かっていた昴は七波に何度か家でやらないかと提案した。しかし返ってきた言葉は「うちの両親の言うこと聞けないの? 安月給の癖に」だった。  今回自宅でのクリスマスパーティーが出来たので、花奈としては満足だった。  ちなみにサンタの役はカネさんだ。体格がちょうど良かったからである。本人もノリノリだ。 「金本のおじさんありがとう!」  小学校四年生の女の子に直視されながら言われたので、顔が赤くなる。もう孫を溺愛するおじいちゃんの図だった。 「よかったねぇ、花奈ちゃん。おばあちゃんがとびっきり美味しいの用意したから食べようね」 「うん!」  カネさん一家と祖父母と父に囲まれて豪勢な食事が用意され、花奈の目が輝く。 「……うん? 窓割れてね?」  窓を一瞥したカネさんが呟く。  それと同時に家の電話が鳴った。  この引き戸はセキュリティが反応するタイプで、異常があればすぐにセキュリティ会社から家に電話が来る。  電話の応対に照江が出た。状況を話す。
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