終章

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「はい、窓が割れてるみたいで……」  照江の弱々しい声でセキュリティ会社も「今すぐ来ます」との返事がきた。 「あれ、あいつじゃね?」  カネさんが指を差しながら他の人に尋ねる。 「まさか?!」  カネさんのカミさんが目を丸くする。  その瞬間、花奈は斉史にしがみついて「嫌だ、怖い怖い」と呟く。 「おじいちゃんがついてるからな」  安堵させるために斉史は花奈の頭をなでる。  家の中に入ってきた彼女とその彼に、集まってるメンバーは身動きできなかった。 「花奈に会いにきたの。上がらせて」 「今日クリスマスでしょ? プレゼントを持ってきたの」と彼女の妙に不気味な笑顔に昴は身震いをする。  彼女の手ケーキの箱、その彼の手にはライターがあった。これで侵入したのだろうか。 「だめだ。花奈は嫌がってる」 「あらぁ、そんなことないわー。ねぇ、上がらせて。お義父さんお義母さんにも挨拶しなきゃ」 「はぁ? 今まで俺の両親を見下してた癖に、何が挨拶しなきゃだ? 絶対こっから先は上がらせない」  昴は彼女の甘ったるい口調に吐き気を催した。  頼む早く来てくれ。誰か警察でもいいから!
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