終章

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 このクリスマスの日の夜、ききょうがいつも以上に色っぽく見えた。少し露出のある赤のベビードールを着たのである。ベッドの周りをアロマキャンドルで灯し、楽しんだという。 「話かわりますけど、見てくださいよ。これ」  ネットのローカルニュースの記事をすいせんから見せられた。 「うわぁ、まじかよ」 「空き巣の手口じゃん!」  菱村家に元妻がガラスをライターでこじ開け侵入した内容だ。しかも日付はクリスマス前日。 「これね、カネさんが言ってたの。昴さんからも連絡きたわ」 『元妻と坂東遥斗が家のガラスの引き戸こじ開けたんです。警察沙汰になって、とうとう彼女は年越しを塀の向こうでになりそうです』  すずらんはネットのSNSのキーワードで検索する。 「あちゃー、クリスマスの悲劇として拡散されてるよー」 『これ、篠宮七波と坂東遥斗じゃん。ヤバいな』 『懲りなくて草』 『二人の両親が止めなかったのか? その罪は大きい』  みみずくとききょうがクリスマスを楽しんでいる一方で、こんな妬みが入ったような犯罪が起きているのである。 「菱村七波は警察のお世話に本当になったかー」 「これも因果応報ざまぁよ」
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