終章

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 すいせんは心置きなく年越しできそうとニヤついている。PCの画面の前で頬が緩んでいる。  もうムカつくやつ――篠宮七波(しのみやななみ)が社会的に抹殺されたのだから。その夫の菱村昴(ひしむらすばる)と娘の花奈(かな)はどっかいったんだから。一応姉の夫の親族なので冠婚葬祭で会うかもしれない。今までやられたことを根にもつタイプだ。七波は許せないが、昴も花奈も存在が腹立たしい。親族であることは変わりないのでいるだけで目障りだ。塩対応してやる。それがささやかな復讐だ。  娘の咲良と花奈が仲が良かったが、親の都合で引き離してしまった。花奈本人には罪はない。ある意味被害者だ。でも篠宮七波の血が入っている娘という時点で受け入れられない。高校時代冤罪ふっかけてきたやつの娘だ。そんな娘を咲良と関わってたら悪影響だ。  娘に悪いと言っているが本当はちっとも思っていない。親同士確執がある者同士仲良くされてはたまったもんじゃない。だから咲良を中学受験させて関わらせないようにする。もし将来なにかで咲良と花奈が再会して仲良くなるかもしれない。その時はなんとしてでも引き離す。それがだとしても。  
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