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1章
「はぁー?! 意味分かんないんですけど!」
家の中で思わず声を上げる。心がざわつく。
家族は誰も出迎えない。三ヶ月前ぐらいから。
それまでに何度も妻と娘に連絡したが無視される。
いなくなる前から、妻は実家に行く頻度や両親を連れてくる頻度が多かった。何度も減らして欲しいと言った。
いいじゃん。家族なんだからと言って減らす気がなかった。
家の中は真っ暗。十一月の十八時台だから余計暗い。そして哀愁感が漂う。
リビングの電気をつけたら、机の上に離婚届と大きな封筒。
中身を開けると妻からの手書きで書いた手紙と、A4サイズの書類。
あなたのDVとモラハラとお義母さんの嫁いびりに耐えられないので、娘を連れて実家に帰ります。
あとはあなたが離婚届に判を押して、こちらに送り返してください。
書類には、自分の発言や妻のあざの跡、妻と実家とのやりとり、または自分と妻とのやりとりのメッセージが残っていた。
そんなのやったことないし、妻も娘も愛してる。
娘の笑顔が楽しみだった。
嫁いびりもしていない。
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