coton

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「アダム! 何さっきから大騒ぎしてんのよ!……って、猫! アンタ猫なんて拾ってきたわけ?」  ローズおばさんは俺の肩にしがみついて離れない猫ちゃん役を指差し、シワシワの目を丸くした。 「拾ってない! 勝手に部屋に入ってきたの! おばさん、ちょっと引き剥がすの手伝って!」  ローズおばさんはやれやれという顔で猫ちゃん役の腕を引っ張った。引っ張られた猫ちゃん役はますます爪を立て俺の肩にしがみつく。ああもう、買ったばかりのシャツの襟が穴ぼこだらけじゃないかぁ! 「やだってば! 引っ張るのやめて! 僕はアダムさんちの猫になるんだから! このおばさん嫌だにゃあぁぁ!」  いま、にゃあって言った! かわいい! 「にゃーにゃーうるさい子ねぇ! アダム、アンタこの子飼うんなら、家賃に上乗せしとくから!」 「えっ、飼うわけないでしょ、猫じゃないんだから! 早くサーカス団に戻さないと!」  すると、?とローズおばさんは不審げな顔をして、猫ちゃん役から手を離した。 「猫じゃなきゃ何なのさ」  そう真剣な顔で聞かれると、ちょっと自信を失うんですけど。 「い、いや……猫の役だろうけどさ。ぞ、ゾウには見えないよね」  どうやらおかしな返答をしたらしい。ローズおばさんは人を蔑むような目で俺を見た。 「野良にしてはきれいな白猫じゃないか。アンタに懐いてるようだし、責任持って飼ってやんなよ。じゃあ来月から、家賃に3フラン(※約3千円)上乗せしとくからね!」  ローズおばさんは引き留める間もなく、そう言い残して部屋のドアを閉めた。
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